


■DR-Z400SM('05)インプレッション
2003年のモーターショーにイメージとしてその姿を見せてから、正式デビューまで時間がかかりましたが、外観上の変更点がいくつかあります。
一番のポイントは、やはり前後ホイール。
サイズはフロントが3・50−17、リアは4・50−17で、現在の日本のモタードシーンではごく普通のチョイスとなっています。
フロントフォークには倒立サスペンションと若干短いフロントフェンダーを装備。
サイレンサーやブレーキローターも変わっていますが、どちらかというとショックを受けるほどの外観ではありません。
XR400モタードの方が、印象的で大幅な変化をしたように感じます。
ディメンションまでもしっかり新設計し、倒し込みのモッタリ感はありません。
ブラケットやアクスルシャフトのオフセットを見直し、市販レーサーRMと同仕様の倒立フォークを使用することで、攻撃的なコーナーへのアプローチを可能にしています。
正立フォークではフロントと相談しながら進入するようなコーナーでも、これなら直線的にクリップへとマシンを進めることができます。
リアショックもRMのものを仕様変更して装着しているので、基本性能は十分。
フロント/リアともに、RMをベースとしたフルアジャスタブルユニットが標準装備されていることで、乗り方や使用目的に合せて幅の広いセッティングが楽しめます。
ただし、これはアスファルトのみのコースでの話。
完全なるモタードマシンを要求するとなると、車重が大きなポイントとなることも考えられます。
ジャンプやウォッシュボードセクションを走らなければならない場合、少し気になるところです。
ただ、現時点の国内で、中型市販モタードはこのDR−Z400SMのみ。
公道を走れるスーパーモタードの量産車といった意味では、かなり次元の高いマシンです。
開発スタッフが時間をかけ情熱を注いだのがよくわかります。
エンジンはDR−Z400Sと同様のDOHC4バルブ。
スペック上では40PSと高性能ですが、CVKキャブレターとの相性は抜群で、アクセルのオン/オフ時でもギクシャクすることなく、いたってスムーズです。
タイトなコースでも、気持ちよく走行ができます。
簡単にいうと「もっと開けたくなってしまう」フィーリングなのです。
また、強制開閉式のキャブレターのマシンとは異なり、スライドコントロールがしやすいのも良いところ。
当然、これは車体全体のバランスの良さもありますが、駆動も前後サスペンションを動かす大きなファクターなので、スロットルの開け閉めがラクに自分の範囲内でできることが、走りに大きく影響するのです。
これからモタード始める人にも安心してお勧めできます。
モタードだけでなく、このようなマシンは街やツーリングなどでも最高の道具にもなります。
取り回しの良さ、適度な排気量やスリムなボディを活かし、通勤時にスルスルと街中を走り抜け、ちょっとしたツーリングで林道に入ってみたりと、ライダー次第でいろいろな遊び方の範囲を広げられる楽しいマシンです。
また、DR−Zはアフターパーツも国内外で豊富なので、上級者にもやりがいのあるマシンともいえます。
1からオフロードマシンをモタードに改造をすることを考えれば、かなりお得で無駄のない買物です。
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